【完】キミさえいれば、なにもいらない。
ちなみに璃子にだけは、一ノ瀬くんとのいきさつを軽く話した。


彼に突然告白されたことや、断ったこと、それでもあきらめない宣言をされたこと、彼がわざわざ髪を切ったりしてイメチェンしたことまで。


それを聞いた璃子は大興奮で、今まで以上に冷やかしてくるようになったから、ちょっと参ってるんだけどね。


「はぁ~、いいなぁ。学年のアイドルから毎日のように求愛されるなんて、夢みたいだわ。私もされてみたーい」


「いや、求愛って、そんな……」


「すごいよねぇ、振られてもあきらめないなんて。彼方くんってああ見えて、けっこう一途なんだね」


感心したように言う璃子。


「う、う~ん……」


たしかに私も、一ノ瀬くんがあそこまで熱心にきてくれるとは思ってもみなかったけど。


一ノ瀬くんはその後も、私が振ったことなんてまるで気にしていないみたいに普通に話しかけてくるし。


おかげであまり気まずくはないから、それは助かる。


でも、やっぱりいまだに半信半疑というか、理解できないというか。


どうして彼が私なんかに好意を寄せてくるのかが、まるでわからないんだ。


私のどこがいいんだろう。


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