きっと夢で終わらない
でも私の心の中の、根本的なものは解決されない。
花純先生は私が頼っていい存在なのだと言うことは、わかった。

でも、どこまで許される?
どこまでが先生の思う、教室で浮いている私?
それ以上馴れてしまえば、先生もきっと私を敬遠するでしょ?


誰一人確信持ってる人なんかいない。
自分を、本心を、偽り長過ごしている。
わかってる。
全てを許せないことはわかっている。

なら、どれだけなら近づいていいのか、教えてほしい。
線を、教えてほしい。


弘海先輩は出て行ったっきり、昨日同様私がいる間は戻ってこなかった。
意図的に避けるくせに、あんな言葉を言ってくるのは、やっぱり意味がわからない。


なんとなく弘海先輩は近づいてはいけないような気がする。
弘海先輩はダメだ。
あの瞳に捕まると、あの声が鼓膜を抜けると、私のずっと胸の奥で鍵をかけたものが開いてしまうような気がする。

だからもうこれ以上関わりたくはない。


「また、来てね」という花純先生の言葉に、少なくとも弘海先輩がいる間は行かないだろうと思った。花純先生の注意がそれた時に、借りていたハンカチを机の上に置いて、ゼミ室を出た。
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