極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
ふたりの夜の、過ごし方

 ――『あっ、ちょっと待ってくださいね』

 ミミの店で再会してから、4日。
 火曜の21時過ぎ、環は万佑に電話をかけながら、社の自室で寛いでいる。

 再会した夜、キスは未遂に終わったものの、抜け目なく連絡先はしっかり交換しておいたのだ。
 今夜は2回目の通話ということもあって、万佑も幾分か緊張せずに応答してくれているようだ。


『お待たせしました』
「タイミング悪かった?」
『大丈夫です。ついさっき帰ってきて、スマホの充電を忘れてただけですよ。まだ会社ですか?』
「うん。でも、仕事は終わったから、もう少ししたら帰ろうかなって思ってた」
『遅くまで大変ですね。お疲れ様でした』

(癒されるなぁ……)

 彼は座っているデスクチェアをくるんと回転させて、都内の夜景を眺めた。
 環が勤めている〝FNコンサルティング〟は、ホテルやマンション、ショッピングフロアもある虎ノ門の高層ビル内に入っていて、東京タワーの夜景が至近距離に見えるところが、特に気に入っている。

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