俺たちは夜に舞う蝶らしい

澪side





屋根の上を走り抜け、蘭ちゃんを探す。

僕の怪我なんか比じゃないくらいに、怪我をしていた蘭ちゃん。

その怪我はすべて、KINGにつけられた傷。

僕は蘭ちゃんが生きていたことを知っていた。
知ったのは蘭ちゃんがいなくなった次の年。

つまり9年前。

僕や翼が凛音さんたちから名前を継いだくらいの時期だ。

昭美さんたちが生きていることは、2人が殺されたとされた日……つまり、翼と一緒に2人の亡骸を見た時から知っていた。

何故?
と聞かれれば、何となく……としか言えないけど、本能的にまだ生きてると判断してしまったらしい。

そして同時に悟ったんだ。

皆がどれだけ危険な橋を渡ろうとしているのか。

それは全部、僕らを守るためなんだって。
だから、今回の計画を提案した。

僕と蘭ちゃんで流れを決めて、それに協力してくれたのが父さんや洋さん。

要さんや秋雨さんもだ。


計画に必須だったのは僕らがあいつらにとって必要な人材であるという事実。

だから、要さんや秋雨さんの意見で僕の黒羽の名前は要さんから、翼の白羽の名前は凛音さんから名前を継ぐことになったんだ。

< 56 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop