美しい敵国の将軍は私を捕らえ不器用に寵愛する。

2人の恋愛感

私と白起は私が来た世界について話をしていた。

「そちらの世界では恋愛はどうなってるんだ?」
「どういう意味ですか?」
「いくつくらいで結婚している?結婚相手はどの様に決まるんだ?」
「そうですね。こちらよりも10年くらい結婚は遅いと思います。結婚相手の決め方はこちらと差異はありませんが、親が強制的に結婚相手を決めるという事はありませんね」

すると白起は不思議な様子で問いかけた。
「それでは、人気が無くて結婚相手の見つからないものはどうするんだ?」

私は言った。
「私みたいにずっと独身で暮らす事になります」

すると白起は笑って言った。
「お前はまだ若いだろう。それに美しい。死ななければ結婚相手は見つかったのではないか?」

私は苦笑いした。
どうやら白起は私を美しいと感じているらしい。
生前は一度も言われた事のない言葉だ。

私は白起に言った。
「ないですよ。そもそもあの頃の私には仕事とか親とか、他に大切な物がありすぎて、恋愛をしようなんていう心の余裕はありませんでしたから。」

すると白起は深く頷くように言った。
「その気持ちは分かるな。俺もそうだ。少なくとも俺の時代では結婚は義務だから回りからしつこく言われてうんざりしている」

生前、私は結婚や恋愛と言ったことに対するプレッシャーを感じる事も少なくなかった。
恋がしたい、信頼できる人に出会いたいという、正の感情ではない。
恋ができない自分はおかしいんじゃないか。
結婚も出来ない人間は信頼されないんじゃないか。
そういう負の感情だ。
だから私のそう言った部分を白起が認めてくれたことが何だか嬉しかった。

「この時代でその考え方を貫くのは大変でしょうね。」
「ああ。だが俺は女と寝室を一緒にするなど絶対にごめんだ。いつ寝首をかかれるか分からないからな」

私はそれは違うと思った。
私は目の前の事に必死だったからであって他人が信用できないから恋愛をしなかったわけではない。
「恋愛をしないのは自由だと思いますけど、他人を全く信用しないのはまずいと思います」

すると白起は満面の笑みを浮べた。
「まさか。お前は他人を信じているのに、目の前の事に熱中しすぎて恋愛を出来なかったのか。本当にお前は真っ直ぐすぎて人生を損しているな」

私は怒って言った。
「もしかしてからかっているんですか?」

すると白起は言った。
「褒めているんだ」

私はそこである事に気付いた。
「というか恋愛に興味がないならどうして私を口説こうとするんですか?」

白起は笑って言った。
「たしかにそうだ。なぜだろうな」
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