メガネ君は放課後ヤンキー?!


学校が終わり家に帰る。

マンションに着くとエレベーターのボタンを押して、到着する前のフワっとする瞬間を待ち構える。

これも私のささやかな楽しみの1つ。


エレベーターから出ると、
長い廊下を歩いてやっと自分の家に着いた。


家から学校に行って、そして家に帰ってご飯食べて寝る。そんな単調な日々の連続だった。


学校から帰るとダイニングには、必ずラップがかかった冷たい晩御飯が用意されていて、そのままレンジに入れてあっためる。じわじわ回るお皿を見ながら、空腹を噛みしめる。


小学生の頃からずっとこうだった。


ノートや教科書がなぜか学校で消えた日も。
苦手科目のテストで学年一位を取った日も。
かかってもないインフルエンザで休んだ日も。



そっけない、冷たい晩御飯。
鍋にこびりついた冷えた白米をこそげとる。
それでも、お母さんはご飯を欠かさず用意はしてくれた。

温めたおかずとご飯を並べて、
最後にお味噌汁を置いた。

「いただきます」

味噌汁はあえて温めず、冷たいまますする。

静かな1人の晩御飯。


真っ黒な画面のテレビを見て
ふいに永遠という言葉が私に襲いかかって来る。

底無し沼のような、まとわりつくような孤独で。
飲み込まれてしまいそうで怖い。


そんな私に、
大学受験という第二関門が近づいていることを
玄関ポストに溜まったチラシが知らせた。


塾か。

単調な毎日を少しでも変えたかった。
母親も塾に行くことに難色を示しながらも賛成はしてくれた。

それから一週間色々な塾へ体験に行った。

設備が整っていて新しくて、居心地がいい。
少し遠い所にあるけれど、気分転換も出来そう!


そして、ここに決めた。


夜の都会のことなんて、何も知らずに…

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