全てを失っても手に入れたい女が居る
おまけ 梨華side

退院すると、郊外の自然があふれる田舎へ住むことになった。実家へは少し遠くなってしまったが、何かあった時にはヘリで移動すれば良いと言って彼はヘリまで用意してくれてる。

病院にもヘリでいけば良いと言うが、流石にそれはしていない。

「ママー琢磨兄ちゃんが殴った!」

「信二がトマト食べたからだろ!?」

「いつも父さんが、初物は母さんが最初だって言ってるのに!」

「だって!真っ赤になって早く食べてってトマトが言ってたんだもん!」

「こらこら喧嘩しないの!」

「もうすぐお父さんが帰ってくるから、みんなで一緒に頂きましょ?」

「あっパパが帰ってきた!パパー」

車の音がし、千夏が手を振る。
そして車を降りる浩司を家族で迎える。

「千夏、お利口にしていたか?」

浩司は千夏を抱き上げ愛しいそうに「ただいま!」と微笑み言う。

「うん!お利口にしてたよ!」

私達は結婚して直ぐ、彼が子供の頃過ごした施設から、二男一女の三人の養子を迎えた。

長男の琢磨は勉強も出来、とても素直で浩司の留守の間は家族みんなを守ってくれてる。頼りになる良い旦那様になるだろう。

次男の信二は、少しわんぱくだが、畑仕事を頑張ってくれる。本人は野菜の気持ちが分かると言ってる。将来は農家さんかな?

末っ子の千夏は少しおませさんで、幼稚園の年中さんなのにもう家事をしきりたがる。
きっと良いお嫁さんになるだろう。

「梨華ただいま!」

「あなた、おかえりなさい」

浩司は優しく微笑みキスをしてくれる。

「検査どうだった?」

「変わりありませんでした」

「そうか? 良かった。
今日は良い味噌を見つけてきたぞ?」

浩司は、今、日本中を回り身体によい美味しいものを探し、以前いた会社へ仲介する仕事をしてる。

「じゃ早速、今夜野菜に付けてたべましょ?」

「信二!キムじぃー呼んでおいで!」

浩司が言うと信二は「はーい」と返事をして、隣の木村さんを呼びに行く。
定年後、田舎に一人で暮らしていた、私の元上司の木村さんの敷地を借りて私達は暮らしているのだ。

信二はキムじぃー早くと言って木村さんの手を引いてくる。
私達は血も繋がらない寄せ集めの家族だ。
でも、何処の家族にも負けないくらいお互いを愛し合う幸せな家族だと私は思う。




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