覚悟はいいですか

「急にごめんな。
実は以前から紫織の近辺を怪しい奴がうろついてたんだ。俺たちはそれに気づいて、君に内緒でいろいろと調べていた。君に危険が無いよう、こっそり護衛もさせていた。
それで一連の事故や事件が堂嶋の息がかかったやつらの仕業と突き止めたんだ」

「え、堂嶋が・・・」

聞きたくない名前に体が震え始めた
すぐに礼が気づいて「大丈夫」と肩に手を伸ばす

と、その時、ブワッと風が吹いたように空気の塊に押され、思わず目を閉じる

辺りがシンーーとなり、そおっと目を開けると、
いつの間にか私の前に、2mはある巨漢
ーー百鬼さんが立っている
仁王像のような顔で私を見下ろしていて非常に怖い

見上げたまま固まっていると、百鬼さんが床に片膝をつき、片手を膝にもう片方を拳にして床をついて頭を垂れる
まるで武士?いや、時代劇のお庭番?

「お守りします。ご安心下さい」

低く太鼓のようにお腹にずしんとくる声だ
真っ直ぐに響く声音と微動だにしない姿勢に、厳粛な中にも誠実さとお父さんのような安心感を覚える

この人、顔は怖いけど真面目そうだし、意外と優しい人みたい
礼の部下の方には違いないし、ご挨拶はキチッとしないとね!

「初めまして。よろしくお願いします」

にっこり頭を下げると、百鬼さんが温度計みたいに首から顔へと赤くなる
その姿にクスっと笑いがこぼれ、思わず「可愛い」と呟くと

「「「ええええええ~~~っっ!!!」」」

百鬼さん以外の3人の男性が、目を見張って叫んでいた
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