君と永遠に続く恋をしよう
心よりも先に近づく体温
「二人ともこんなに飲んで」

呆れるような彼女の声が聞こえた時、俺はいつもになく酔っていた。

彼女の父親もすっかり飲み潰れていて、二人してソファに座り、仰け反る格好で背凭れに体を預けていた。


「ほら、お父さんしっかりして」


母親が父親を起こして立ち上がらせ、肩に腕を回して歩かせて出て行く。


「桜庭さんは大丈夫ですか?」


彼女は俺の側にやって来て顔を覗き、「お水でも飲みます?」と訊いてきた。


「すみません、父が調子に乗って飲ませて」


お水を持ってきましょう…と立ち上がる彼女の手を握り、「待った」と呼び止める。


「そうやって気にかけるのは俺だけか?」


モヤモヤとした嫌な気分が胸の中に広がっていて、ついそんな質問を投げ掛けた。


「さっきの…平野さんは心配してやらないのか?」


「え?平野さん?」


振り返る彼女の唇から奴の名前が漏れ出し、益々ブラックな気持ちが膨らみ始めた。


「どうして平野さんを心配するの?あの人は桜庭さんと違って、お酒も殆ど飲んでないのに」


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