一途な彼にとろとろに愛育されてます
4.離れていても



あの飲み会の夜。

檜山に抱きしめられたまま気づけば眠ってしまっており、目を覚ますと自分の部屋のベッドの上にいた。

カーテンを明けるともうすっかり陽は高く、今日が休みでよかったと安堵した。



どうして檜山は、私を抱きしめたんだろう。

その行動にどんな意味があったかなんて、自問しても答えは出ない。

だけど檜山自身に聞くこともできない。



知りたい、けど怖い。意味なんてなかったと言われがっかりしたくない。

本当はなにか深い意味があったんじゃないかって、期待してしまう。

そう思うと、やっぱり知りたい。

彼の気持ちを、知りたい。






「出張?」



そんな飲み会から数日が経ったある日。

いつも通り檜山とふたり過ごす夜の食卓で、檜山の話に私は問い返した。



今日は休肝日ということで、白米にお味噌汁、肉じゃがという和食中心のメニューだ。それを箸でつまみながら檜山は頷く。


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