冷たい幼なじみが好きなんです
こんなことしないでよ


「知ってるか?相田さん、二宮と付き合ってるらしいぜ」


「まじで?俺、相田さんのこと狙ってたのにー!まあ、二宮ならかなわねえってかんじだな~」


「知ってる?二宮くん、百合ちゃんと付き合ってるんだって!」


「え、そうなの!?二宮くんは彼女作らないと思ってたのにショック~!でも、百合ちゃんならお似合いだよね~」


遥斗の火傷を手当てしてから一週間。


そのあいだに、遥斗と百合ちゃんが付き合いはじめたことはうちのクラスまで広まっていた。


学年で一番頭がよくてかっこいい遥斗と、学年で一番美人でスタイルがいい百合ちゃん。


そのふたりがカップルになって、噂にならないわけがない。


このあいだもふたりで下校してるところを見かけたし……わたしが入る隙間なんて1ミリもない、ってかんじ。


百合ちゃんに敵うなんて0.1ミリも思ってないけどさ…。


火傷の手当てをした日、遥斗にほんの少しだけ近づけたかもって思ったけど……遥斗の様子は相変わらずだ。


朝偶然会ってもわたしのほうを見ようともしない。


だからわたしもあいさつすらできない。


また、元どおり…か。


でも、遥斗のこと以外は充実してるから、毎日楽しいんだけどね。


放課後も土日も、優香や竜、クラスの友達、去年仲よかった友達ともよく遊んでいる。


わたしの人生………遥斗がいなくても、このまま楽しんでいけるのかな。


こんな悲しいこと思いたくないけど……

このまま遥斗が冷たいままなら、もう、わたしにはどうにもできないよ。


その上遥斗には百合ちゃんがいるから、わたしの“この気持ち”が成就することは一生ないだろうし……。


だけど………

今日だけは、遥斗のことを、考えたい。遥斗だけのこと。


だって今日の夜は………

ストロベリームーンが夜空に浮かぶ日だから。

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