今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


一緒に買い物に行き、一緒に支度をして食事をした日以来、食べなくてはと負担になったら悪いと思いながらも、多めに作った料理は自由に食べてもらえるように一言メモを残して冷蔵庫に入れておいてある。

食べている姿は見かけないものの、毎回それは食されていて、きちんと食器まで洗っておいてくれているのだ。

普段から忙しい仕事に加え、来年の新年明けてすぐに行われる開院百周年記念祝賀会の関係で、近頃の怜士は更に多忙を極めている。

たどり着いた社用車のお尻部分を開け、ラゲッジスペースをがさがさと漁る。

花梨に頼まれたガラスクリーナーの缶を手にしたところで、楽しげな笑い声が聞こえてきてふと目を向けた。

笑い声の主を目にした瞬間、沙帆は反射的に物で溢れるラゲッジスペースの中に無理矢理乗り込んでいた。

「ふう」と小さく息を吐き出し、積み込まれた機材の隙間から窓の外をそっと覗き見る。

改めて確認すると、向こうからやってくるのは間違いなく咲良と怜士の二人だった。

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