エレディンの乙女と青龍の守護者
4.しるし
「申し訳ございません!」
「もうよいと言っている。」
カミユの赤茶の短髪が思いきり下へと振り下ろされる。

『祝福はまだだ。 乙女はまだ無印だ。』

主人の部屋へ押しかけた神官たち。それを押し留めることができず、カミユも彼らに押されるように部屋に入った。その時、ウェルロイドから知らされたのだった。

それはつまり、乙女はまだ守護者へ祝福の口づけをしておらず、守護を受けていないということだ。

つまり、もし今、
黄金か赤の守護者に乙女を奪われるようなことがあれば、女神の祝福は他の守護者へ渡る可能性がある、ということだ。

女神の祝福、それを手にした国は
富み、栄えるという。


「申し訳ございません!神官らを止めきれなかった私の失態で、、っ!」
「もうよい。儀式さえ済ませればよいのだ。」
濃紺のガウンを羽織ったウェルロイドは部屋の中央、ゆったりとしたソファに身体を預けている。
乙女はというと、ベッドの上でシーツを身体に巻きつけ、その上から紺色のガウンを羽織るという格好だ。
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