怨返し─赦されない私の罪─

「わ、分かった!今から行くから!場所はどこ!!?」


「東崖寺!東崖寺まで来ちゃったの!!今すぐ来てよ!東崖山の近くの東崖寺の前まで来たの!!はぁ!はぁ!もう無理だって!
はぁ....あ、章太君!やめてぇぇぇぇぇ!!!」


ブツッ!


「み、美苗!どうしたの美苗!!!」


着信が切れても依奈は呼んだ。返ってくるのは美苗の声ではなく、ツーッ...ツーッ....と静かな音が皮肉にも聞こえた。
依奈は血相を変えて裕子の顔を見ると、裕子も状況が分かったのか、緊張している顔をしていた。


「今すぐ行きましょう。八栗さんを助けに行きましょう。」


裕子のその言葉をきっかけに、依奈は立ち上がり、二人は章太の家から飛び出して東崖寺へ向かった。
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