perverse
5 別れ
せっかくの休みなのに

今日は一人ではいたくなかった

誰かに話を聞いてもらいたかった

会社で同期の沙菜に電話をし、一人暮らしをしている彼女の家にお邪魔をすることにした

私の元気のないかすれた声を聞いて驚いている

泣きはらした顔を鏡で見る勇気もなく、化粧をる気力もないので眼鏡とマスクで顔を隠す

私は家族に見つからないよう朝食もとらず慌てて家を出る

私の自宅の隣の駅に沙菜の住んでる1LDKのマンションがある

泣きはらした顔を見るなり、沙菜は私の今の状態を把握したようで何も言わず頭を軽く撫でてくれた

今まで一生懸命堪えていた涙がまた溢れてくる

私は沙菜の胸でひたすら泣く

こんな私を沙菜は優しく、温かく包んでくれた

どれぐらい時間が過ぎただろうか?

涙が止まりだした頃

「美波・・・泣きすぎ。水分補給しないとね」

と冷蔵庫から持ってきてくれたものは・・・・

【2本の冷えた缶ビール】

まだ朝なんですけど・・・・

時計を見るとまだ10時を回ったところ

「もー、いーからいーから。ビールでも飲みながら、 ゆっくり話そうよ!今、まだ朝だし時間はいっぱいあるから」

と言いながら、キッチンへ向かう。おつまみを作るようだ

「美波、先飲んでて。 何か作るから・・・」

料理が趣味の彼女の料理。いつもレシピを教えてもらっている

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