癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「私はイケメン嫌いだし。それに光琉に近寄られて、周りの光琉ファンから睨まれるのだけは勘弁なんだよ」

「何を言ってんだ。大人になって、そんな分別がつかないやつばかりじゃないだろう」

苦笑いする悠生に、遙季はため息をもらした。

「何言ってるの。大人の恋愛のゴタゴタの方がよっぽど怖いことは、ニュースとか見てたらわかるでしょ?」

痴情のもつれからの傷害、思い込みからのストーカー行為,,,。

心を病む人々の背景には、恋愛が絡むことはよくある話だ。

もちろん、心を病む純粋な患者さんとその家族がたくさんおり、どんな人に対しても本心から支えになりたいと思ってこの仕事をしている。

だか、一部の激情化した人々のある一面だけが報道されている現状では、精神科領域のネガティブな面だけが強調されていることに憤りを感じてしまう。

子孫繁栄するための遺伝子が生物には兼ね備えられているのだから、恋愛感情は大切な本能の1つといえよう。

だが、人間が人間たる理由は、知性や倫理観が本能を上回ることが出来る点にある。

遙季にとって、光琉への感情は、言葉に表すことのできない次元のものなのだ。

光琉は遙季にとって、あの事件が絡んだ恐怖や畏怖というネガティブな対象である、というだけではない。

大切にしすぎて近寄れない、稀有な存在。

そう、遙季は光琉が大好きだった。

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