秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
13.名前

それから二日間熱にうなされることになり、完全に復活できたのは早退した日から四日後のことだった。

――治ったら、時間を作って欲しい。

 直樹にそう言われてから、どうすればいいのかずっと悩んでいた。

 嘘に嘘を重ねるのも限界だ。

 正直に話してもいいのかな。もし樹里が直樹の子どもだとバレたら、今のような生活を送れなくなってしまうのではないかと不安がよぎる。

 直樹はまだ独身だと言っていた。だけど彼女がいるかもしれない。それなのに子どもがいたと発覚したら、ふたりの仲を壊してしまう恐れがある。

 仮に恋人がいないとしても、これから結婚するのに隠し子がいたなんて分かったら、直樹の幸せさえ奪いかねない。

 相手に黙って出産するなど、身勝手なことをしてしまったのだと身をもって知る。

 怒られて当然……だよね。

 彼の家はいろいろな力を持っているはずで、私や樹里を消すことなど簡単だろう。
 あとは彼の判断に任せよう。なるようにしかならないし、何が起きても私は樹里を全力で守る。

……それだけだ。
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