キミに降る雪を、僕はすべて溶かす
1-1
今日も一日が終わった。・・・気疲れで終わった。
そんな大きな会社でもないし、二人しかいない女子社員のもう一人も、しっかりしてて優しい人だ。転職したばっかりで慣れないあたしを気遣ってくれる、すごく好い人。
でも圧倒的に男性社員が多い職場の空気に馴染むには、それなりに時間がかかりそう。・・・いやいや、まだ入社してニ週間なんだし、弱音吐くには早すぎるぞ、あたし。

電車に揺られながら、胸の中で自分に言い聞かせる。
朝は10時前の出社、帰りは7時前の退社。残業無いし、休みは隔週の週休二日制だけど、ゴールデンウィークも盆暮れ正月休みもちゃんとあって、給料もそこそこだ。
26歳って、何とも中途半端なお年頃にも関わらず採用してもらえただけでも有り難い。・・・人間、感謝のココロが大事よね。

肩からずり落ちかけたバッグのショルダーをぐっと引き上げて、つり革を握り直す。

志室利津子(しむろ りつこ)、座右の銘は。『成るように成る!』だ。
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