さっきのただならない様子を見て、久保君が白状しろと聞いてきた。
私は、ありのままを話した。
たいていの事には驚かない久保君だけど、町田部長ととことを打ち明けたら、目を丸くして驚いた。
「ちょ、ちょっと待って都……。びっくりさせるなって。部長とだって?恋愛から遠ざかってた君が、いつの間にそんな事にはなってたんだ?」
「成行上、そうなったの。細かいことは、聞かないで」
「ああ、そっか。分かった」
と言いながらも、彼はため息をついた。

察しのいい久保君は、何か事情があるって気が付いてくれている。
「だからか……」少し間があって、久保君はくすっと笑った。
「なに?」
「さっき、都と一緒にいた時、町田さんにきつく睨まれたのは、そのせいだね」
「睨まれたの?」
「一瞬だけど鋭い目で見てたよ」
「ごめんなさい。変なことに巻き込んじゃって」私は、彼に謝った。久保君は頼りになるから、つい面倒なことでも頼んでしまう。
「いいさ。気にするなって」
穏やかな顔つき。友香に話す前に先に久保君に話してしまったのは、少し気が引けるけど。久保君に打ち明けておくと、何かと助けになってくれる。

友香に言っても、ロマンチックなことばかり想像するから、自分が混乱しているときは、友香よりも久保君を頼ってもそれで良かったと思う。
友香が聞いたらむくれるだろうけど。彼女に話したら、他の同僚にも気づかれそうだし、町田部長に対しても、大人しく見守ってはくれないだろう。

「それで、どうするの?」久保君が水を飲んだあと、質問してきた。
「どうするのって?」
「だって、都の話を聞いても、さっきの町田部長の態度を見ても、部長絶対納得してないと思うよ」
「納得してない?あれだけ振り回しておいて」
感情が顔に出てしまった。もう少し声を押さえなきゃ。
「現に、さっきだってすごい顔で俺のこと見てたし」久保君は冷静だ。あんな短い時間に私たちのことよく見てる。
「そうだった?かな……」
「ああ、君の見てないところでね」