やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
「ど、どうしたら、いいと思う?」
自分で考えたけど、いい方法が見つからない。
彼から逃げ出して仕事に打ち込もうとしたけど、先回りをされてしまった。
「なんだよ、それ。俺に聞くってことは、迷ってるってこと?」
「迷ってるんじゃなくて。どうしたら、部長、納得してくるのかなと思って」
「納得させるって。都、まさか部長のこと、振るつもりなの?」
久保君は、驚いて大きな声を出した。

私は久保君の質問に首を振る。
「違うよ。先に振ったのは向こうだもん」私は、きちんとさせたいと思って久保君の言葉を訂正した。
「何だそれ。相手に振られたから、振り返すのか?」久保君が笑いながら言う。
「笑い事じゃないから」
「ごめん。部長との間に何があったのかわからないけど。あの様子じゃ部長、簡単に納得しないと思うよ」
「私のことなんか、もう、どうでもいいはずなのに。どうして今になって、私に関わってくるんだろう」
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