旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



そういえば、明後日から三日間、都内の大きな会場で様々な服飾メーカーが集まる大規模展示会があると聞いた。

そこでは商品部や営業部の人が新規の取引先の獲得やさらなる発注確保のためにブースに立つのだ。


私は特に役目もなく、会社で通常業務組だから気にしなかったけれど。



「あれ、でもあれって各部署からそれぞれ2名ずつって聞きましたけど」

「実は当初会場係として参加するはずだった大島さんが、高熱で寝込んでしまって。明後日の当日までに全快できるかわからないから、代役を立ててほしいと言われて……」



他の人は都合が合わなかったのだろう。頼み込むようにぺこぺことする彼に、特に予定もないことから、私はふたつ返事で頷く。



「そうだったんですね。わかりました、私でよければ参加させていただきます」

「ありがとうございます!助かります!」



安心したように笑った主任につられて笑うと、彼はさっそく手にしていた書類を渡した。



「当日の流れなどはこちらの資料を読んでもらって……あっ、でもなにかあれば当日営業部からは津ヶ谷さんも参加されるので、頼っていただければと!」

「えっ」



津ヶ谷さんもなの?

まったく知らなかった。驚きながら書類を見ると、確かにそこに書かれた参加メンバーの中には『第二服飾事業部 津ヶ谷愁』の文字があった。


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