強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
7話「甘い余韻」





   7話「甘い余韻」




 秋文の告白を受け入れ、恋人同士になったふたり。けれど、友達としての期間が長かったためか、距離感が掴めずに千春がおろおろしてしまう。すると、部屋を出るときに秋文に手を掴まれ、そのまま指を絡めて手を繋がれてしまう。そのまま、店の廊下を引っ張られるように歩く。

 恋人らしい行動に、一気に恥ずかしくなった千春は、秋文の顔を見上げると、彼は得意気に微笑んでいた。




 「おやおやー。なるほど、そうゆう事だったのか。」
 「……店長っ!」
 

 スタッフルームから出てきた店長は、繋がれた手を見つめながら、ニヤニヤと笑いながらそう言った。
 

 「変なところにバラさないでくださいよ。」
 「そんなことしたら、信用なくなってこの店潰れちゃうからねー。秘密にしてますよ。お幸せにー!」
 「…………なんか、信用できないんだよな。」


 秋文はそんなことを呟きながら、カフェを出た。もちろん、車に乗るまで手を繋いだままで。




 「で、何でそんなに緊張してんだよ。」

 
 秋文の車に乗ってからというもの、千春はどういう風に話をすればいいのかもわからず、助手席に座って、ただまっすぐ前を見ることしかできなかった。

 「まさか、まだ助手席は嫌だったとかじゃないよな……?」
 「違うよ!でも、急に付き合うとなると、秋文とどう接すればいいかわからなくなって。」
 「……いつも通りでいいだろ。」
 「いつも通りって、どんな感じだっけ?」


 困り顔で秋文を見つめる。秋文は、いつも通りに接してくれているのだから、同じようにすればいいとわかっているけれども、何故か恥ずかしくて出来なかった。

 秋文の隣に座ったり、手を繋いだり、話しをしたり、そして、目が合うだけで、千春は頬が赤くなるのを感じた。
 まるで、初めて付き合った時のように、全てが緊張の連続だった。

< 25 / 166 >

この作品をシェア

pagetop