他に取られてしまうのが惜しいような、俺以外に触られるのがおもしろくないような、よくわからない独占欲に突き動かされての行動だった。
 エレンが俺の肩の上で、なんやかんやとピィピィ声をあげているのを心地よく耳にしながら、俺は自分の船へと向かた。
 肩にのるエレンの重みと温度に、胸で渦巻く悪感情は充足感に取って代わった。
「お、なんとか出航時刻に間に合ったようだな。マーリン、今戻った!」
「間に合っていやしません! とっくに出航時刻は過ぎてます。サッサと乗ってください!」
 上甲板で腕組みして待つマーリンに手を振れば、なぜか怒声が浴びせられた。
「す、すまん!」
 俺は間違ってもエレンを落としたりしないよう、その背を抱く手に力をこめて舷梯を駆け登った。
 触れる細い背の感触に、ドクンと胸が大きく跳ねた。


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男装  溺愛  年齢差  航海