そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
11.やるせない思い
11.やるせない思い


ベッドの上で目が覚めた時、ふとこの場所がどこだかわからなくなる。

でも、体を柔らかく包むふかふかの羽毛布団が明らかに家のものではないとすぐに気付き、慌てて枕元に置いたスマホで時間を確認する。

もう朝の6時半。

そろそろ支度しないといけない時間だ。

気持ちは急いているのに、疲れのせいか体が重たくてなかなか起き上がれない。

なんとか体を起こすと頭がズキンと痛んだ。

だるい体を引きずるようにベッドから降り、スーツケースに詰めっぱなしだった洋服をひっぱり出し着がえた。

ふらふらしながら、部屋を出てリビングに向かう。

リビングに入るとコーヒーの香ばしい匂いが漂っていた。

「おはよう」

テーブルの椅子に腰をかけた東條さんが、新聞を広げたまま私に顔を向ける。

彼は既に皺一つないグレーのワイシャツを着て、朝食も食べ終え身支度も調えている様子だった。

「おはようございます」

「申し訳ないが、今日は早朝から会議の打ち合わせが入っているから先に出るよ。キッチンにコーヒーと朝食を置いてるから適当に食べて」

そして、東條さんは新聞をテーブルの上に置き立ち上がると椅子の後ろにかけてあったジャケットを羽織った。

「鍵はスペアをテーブルの上に置いてあるから使ってくれたらいい」

「何から何までありがとうございます」

そう言って頭を下げようとしたとき、くらっと視界がゆがみそのまま体がふらつき倒れそうになる。

「大丈夫か?」

その時、さっと私の体が東條さんの腕に支えられ、あやうく倒れずに済んだ。

「お前、体熱くない?」

私を支える彼の表情が僅かにゆがんだ瞬間、私の体はふっと浮いた。

え?

東條さんが私を抱きかかえている。

彼の甘い香りが鼻をかすめ、彼の端整な横顔が目の前に近づいていた。

体がドクンドクンと熱く脈打っている。

東條さんに抱きかかえられていることで一層体の熱っぽさが増していく。



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