独占欲強めな同期の極甘な求愛

昨日、三井さんと別れてからまず最初にしたことは、藤田さんへの連絡。

美容師の藤田さんは私がメニューを伝えると電話口で驚いていたけど、変わるためになにをするべきか考えたところ、まずこのヘアースタイルからだと一番に頭に浮かんだ。

「うんと可愛くしてあがるから。任せてね!」

鏡の前に座った私に藤田さんが明るい口調でそう言う。そしてすぐはさみを入れるとジャキっと鋭い音を立て、自分の髪が床に落ちた。それを見てさらに覚悟が決まった。

自信のない自分とは今日でサヨナラだ。変わると決めた自分は強い。そう言い聞かせながら、鏡の中で徐々に変わっていく自分を、瞬きも惜しいくらいに強い瞳で見つめていた。

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