ほわいとちょこれーと!─幼馴染みと恋するホワイトデー
2月14日


「ね、ね!3人で友チョコ作って配ろうよ!」



 ミサトが言い出したのは2月のはじめのこと。


「友チョコ?」

「そ!手作りしてさ、みんなに配るの。仲良い子とかクラスの子とか、あと男子も!」

「それって作ったチョコ自分も食べれる?」

と聞いたのはレイラ。


「もっちろん!いっぱい作ってチョコパーティーもしよ!」

「あ、じゃ私参加!」

 レイラが手を挙げる。


「瑚子も参加するでしょ?」

「えっ…」


 ミサトが急に私に振った。


「人数多い方が楽しいもん、やろうよ?ねっ!」

「う…うん…」

「じゃ、バレンタイン前日の13日、うちで作るから予定空けといてね!」



 ミサトとレイラ、それから私─雪園瑚子は同じクラス。なんとなくいつも一緒にいる3人組。


 押しが強くてちょっとミーハー、趣味はオシャレ、のミサト。

 マイペースで、小柄で華奢なのに趣味は食べること、のレイラ。


 そして。


 おじいちゃんは町内会長なのに地味で受け身、趣味は特になし、な私─



 いつものことながらミサトのノリに巻き込まれてしまったけど…


(まぁいいや。その日は塾も休みだし。私もチョコは大好きだし)


 それに…


(友チョコ…)


 友チョコだったら千早にあげられるかもしれないし─



 教室を見回すと千早の姿が見えた。

 栗色の髪、色白な肌、いつものように学ランの第2ボタンまで緩く開けた千早が、長い脚を組んで机に腰掛け、他の男子たちに囲まれて賑やかに談笑している。



「千早!」


 後ろから別の男子に呼ばれて千早が振り返る。


 振り返りざま私と眼が合って…



「!!」



 私は慌てて眼を逸らした。


     *  *  *
< 1 / 17 >

この作品をシェア

pagetop