転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
晩餐会での大事件
 こうして、ヴィオラのオストヴァルト帝国における新しい生活は始まった。

 ヴィオラに与えられたのは、ヴィオラと同じように帝国に預かりとなっている各国の王族や貴族達が滞在している区域にある建物だった。

 オストヴァルト帝国の皇宮は、皇帝が昼間に政務を行ったり、招待客を多数招いての晩餐会や舞踏会に使用される太陽宮、その左右に広がる満月宮と新月宮がある。満月宮は皇帝と皇妃の住まいであり、新月宮は、短期的に滞在する各国の使者や貴族を宿泊させるための建物だ。

 それから、皇妃以外の妃達が住んでいる建物や、ヴィオラ達のような長期滞在する者達の住まう建物には、星の名前が与えられていた。

 ヴィオラに与えられたのは、太陽宮からは馬車でないと移動できない距離にあるクィアトールという星の名前が与えられた建物だ。

 クィアトール宮には、ヴィオラと同じようにこの国に滞在している王女や貴族令嬢が五人ほど住んでいて、三度の食事は、マナーの勉強を兼ねて彼女達と一緒に食べることに決められていた。

 二十部屋ほどあるクィアトール宮の周囲には、同じような作りの建物に囲まれていて、註しなければ間違えてしまいそうだ。

 目を覚ました時に寝かされていたのは、病人を隔離するための部屋だった。意識を取り戻して最初に病院と思い浮かべたのは、あながち間違いでもなかったらしい。

 そして、ヴィオラが自分の部屋に通されて驚いたのは、その贅沢さだった。

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