剛力家の三兄弟
明憲と一緒に剛力家へ戻ると、真奈美は、法子に部屋へ来るように言われた。
え?
私、何か怒られる様な事した?
真奈美は恐る恐る法子の部屋へ行くと、部屋一面に広げられた着物と帯。
あまりの豪華絢爛の着物に、真奈美は目を奪われてしまう。
「綺麗…」
「綺麗でしょ?
全て私がお嫁入りの時に、私の母が作って持たせてくれたものよ?」
「凄いですね?」
これ全部でいくらしたんだろう…
着物に縁も興味も無かった私には全く分からないわ…
「この着物全て貴女に譲ります。明日からは、しっかり着付けの勉強もしてもらいますから、そのつもりで?」
「は?」
「剛力家の嫁が着物一枚着れないでは恥ずかしすぎますからね!」
「ちょっと待って下さい。困ります!
勝手に決めないでください。
仕事も有りますから、着付教室に行く時間なんてありませんし、何より…」
何より私は剛力家の嫁になどなるつもりもない。
「約束を忘れた訳じゃないわよね?」
「・・・・」
「それから、着付け教室では無く、私が教えますから、お金の心配などしなくて良いですよ?」
いや、お金の心配より、剛力家の嫁がどうとかの方が、私は心配です!
…っと言ったところで、どうなる訳でもなく、今は、法子さんの言うがままに従わなくちゃいけないのだろうけど…
憲剛さんは悪い様にはならないって言ってたけど、本当に3ヶ月後、訴えられる事なく、無事に済むのかなぁ…
どうしても、何とかなる様に思えない真奈美であった。