剛力家の三兄弟

「いや〜ん、エッチ!」

「バッバッカ!オマエ・・」

「嘘、嘘!冗談です!早くして下さい!私の豚汁が無くなっちゃうじゃないですか?」

明憲は真奈美のポケットから手拭きを出すと、丁寧に手を拭いて、真奈美からオニギリを受け取った。そして片手の空いた真奈美は、急いで豚汁を貰いに行き、戻ると明憲と並んでおにぎりを頬張った。

「どうです?美味しいでしょう?
一緒に働いた仲間と、大空の下で食べるオニギリは?豚汁も美味しいから食べれば良いのに?明憲さん本当に食べないんですか?」

「食べないと言ってるだろ?あんたもしつこいな?今や、学校給食でも先生が生徒に残さず食べろと無理強いするのはパワハラになるんだぞ?」

「えーそうなんですか?私が子供の頃は、嫌いな物でも食べろって、言われましたけどね?でも、外で食べるご飯は美味しいですよね?」

「場所が何処だろうと、大して変わりないだろ?だが、オニギリの塩加減は悪くない」

もう、素直に美味しいって言えば良いのに!
ひねくれ者!

「そう言えば、雅人君のお兄さんの社会奉仕活動って、明憲さんの提案だったそうですね?」

「違う!彼が自ら言い出した事だ」

「雅人のお兄さんから、聞きましたから良いですよ?町内会長さんへも、随分頭下げてくれたって感謝してましたよ?」

「・・・それも弁護士の仕事だからな」

「ちょっと驚きました。私みたいな貧乏人からも、お金取るクズ弁護士だと思ってましたから?」

「オマエなぁ!」

「本当は優しいですね?」

「うるせぇ!」
真奈美からの思いがけない言葉に、明憲は耳まで赤くなっていた。

うふふ…照れちゃって可愛い




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