冷徹騎士団長の淑女教育
第九章 暴かれた真実
アイヴァンとともに孤児院を訪れてから、二日が過ぎた。

アイヴァンにクレアとの別れを告げられたレイチェルは、すっかり気落ちしていた。繰り返し涙を拭いながら荷物をまとめる姿に、クレアは心を痛める。

「アイヴァン様は、どうして突然クレア様をよそに移すなどおっしゃるのでしょう……」

「それは私が悪いのよ、レイチェル。アイヴァン様の信頼を失ったから」

こんなやり取りを、幾度繰り返しただろうか。クレアにしてもレイチェルと別れるのは、泣きたいほどに辛かった。だが、二人して落ち込むわけにはいかない。どうにか気を保ち、必死にレイチェルを励ます。




約束の日の朝。思ったよりも早い時間に、玄関のベルが高らかに鳴った。

クレアの部屋で身を寄せ合うようにしていた二人は、はっとしたように顔を見合わす。

「迎えが来たようだわ」

クレアの呼びかけに唇を震わせると、レイチェルは嗚咽を漏らしながら玄関へと向かった。

背筋を伸ばし、レイチェルが着つけてくれたターコイズのサテンドレスの裾を持ちながら、クレアも螺旋階段を降り玄関を目指す。

「ごきげんよう、クレア嬢」

玄関先で恭しく頭を下げてクレアを出迎えたのは、見覚えのある中年の男だった。


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