そのままの君が好き〜その恋の行方〜
私の高校生活は味気ないものだった。自分では、そんなつもりはなかったのに、周囲から「ガリ勉少女」のレッテルを貼られ、いつの間にか、孤立していた。


周りのせいだけではなく、当然自分自身のせいもあったのは自覚している。ただ正直、なぜあんなことになってしまったのか、今振り返ってみても、よくわからない部分はある。


そんな私の高校での日々を、3年の2学期という時期に変えてくれるキッカケを作ってくれたのが、1年先輩の白鳥徹さんだった。


明協野球部黄金時代のエースで、私の憧れの存在だった白鳥さんが、なぜこんな時期に1年後輩の私達のクラスにやって来たのか、その経緯は省くけど、その先輩を巡る恋の鞘あてをキッカケにして、ライバルだった水木悠(みずきゆう)、更には彼女の親友である岩武由夏(いわたけゆか)と仲良しになれたことが、本当に大きかった。


終わり良ければ、全て良し。希望校だった地元の国立大にも合格し、そんな感じで高校生活が終わろうとしてる頃、私は1人の男子に恋をした。


憧れの白鳥さんには失恋してしまったけど、その白鳥さんのあとのエースだったクラスメイトの沖田総一郎くんがそのお相手。


甲子園のヒーローで、女子の絶大な人気を誇った白鳥さんと比較されて、頼りないというふうに見られていた沖田くん。


私もそんな感じで、彼を見ていたんだけど、実際に話したり、あるいは機会があって、受験が終わったあと、グループで何度か一緒に遊びに行くこともあって、彼の優しくて、誠実な人柄を知った。


ひょっとしたらピッチャーとしては、彼の欠点だったかもしれないその優しさに私は徐々に惹かれて行ったのだ。


ただその恋心に気付き、それを彼に伝えるには、あまりにも時間が、なさ過ぎた。卒業の時はもう目の前に迫っていた。


結局、気付いた自分の気持ちを、当の沖田くんにはもちろん、他の誰にも明かすことが出来ないまま、私は3年間通い慣れた高校を後にした。
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