そのままの君が好き〜その恋の行方〜
大学に進んだ私は、目標である国家公務員になる為の勉強をし、その為の予備校通いもしなければならなかった。でも高校での苦い思いを繰り返すつもりもなかった。


「よく学び、よく遊べ」、私はこの言葉をこれから4年間の大学生活の目標に掲げた。


誰も知ってる人のいないキャンパスで、私はキッカケがある人には、積極的に自分から声を掛け、サークルにも入った。


そして、高校生活の最後の方になって、出来た友達ともコミュニケーションを欠かさないように心掛けた。


こうして、忙しいながらも、充実した大学生活がスタート出来たけど、そんな中、私の心の中に、常にあったのは、沖田くんのことだった。


彼とクラスメイトでなくなってから、はや2ヶ月弱。でも、私の中で、沖田くんの存在はだんだん大きくなっていた。彼とはケー番こそ、交換していたけど、黙っていれば、このまま話すこともないまま、時が過ぎて行ってしまうのは、明らかだった。


気持ちを伝えたい、伝えなきゃ、毎日のようにそう思いながら、結局キッカケも勇気もなく、過ぎて行く日々。


家で携帯を握りしめては、ため息をつくことを繰り返しているうちに、沖田くんが高校の後輩である白鳥唯さんと付き合い始めたという情報が耳に入って来た。


教えてくれたのは、唯さんのお兄さんである白鳥先輩の彼女である悠。大学入学後、由夏と3人で始めた2週間に1度の定例会でのことだ。


私はこの大切な2人の親友にも、自分の沖田くんへの思いを打ち明けていなかった。だから、悠がそのことを話してくれたのは、悪気があったわけではなく、単にその場の話題を提供してくれただけだったのだが、私は、2人に心配されるくらい、顔色を変え、動揺してしまった。


「加奈、沖田くんのこと、好きだったの?」


「だったら、教えてくれればよかったのに。いくらでも協力してあげられたじゃない。」


2人にそう言われても、まさに後の祭り。お兄さんには振られ、妹には、先を越され・・・私はつくづく白鳥兄妹と相性が悪いとしか、言いようがなかった。
< 23 / 177 >

この作品をシェア

pagetop