私たちの六年目
「会社もだけど、早く両親に話さないといけないよね。

お腹が大きくなってから話したんじゃ、きっと怒られるもの。

今夜あたり、電話してみようかな?

それでもいい?」


ベッドに向かい合うようにして置かれている二人掛けのソファーに腰を下ろしながら、俺はうんと頷いた。


なんとなく目だけで部屋を見渡してみる。


学生の頃もそうだったけど、梨華の部屋は物が多くてゴチャゴチャとした印象だ。


俺が座っているソファーには、脱いだ服なのか洗濯した服なのか区別のつかない衣類が無数に置かれているし。


半分閉まったカーテンにも、沢山の洋服がかけられている。


その量があまりに多くて、カーテンレールが曲がっているくらいだ。


俺の目の前のテーブルには、書類や文具や化粧品類が隙間なく置かれていて。


一体どこで食事をしているのか、ちょっと考えさせられてしまう。


さっき見たキッチンも、飲みかけのペットボトルが何本もあって。


早く中身を出して、洗って捨てればいいのにと思った。


不倫相手と別れたり、つわりが始まったりで、部屋を片付ける余裕がなかったのかもしれない。


きっと、そうなんだろう。
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