私たちの六年目
「梨華、溜まったゴミを出して来ようか?」


「本当? そうしてもらえると、すごく助かる」


「じゃあ早速片づけるよ。このレジ袋使うね」


そう言って机の上のあったレジ袋を手にすると、俺は机の上と床の上の目立ったゴミを捨てていった。


「梨華、これは?」


何かのチラシかな?


「あぁ、それもう捨てていいよ」


時折梨華に確認しながらゴミを放り込んでいると、あっと言う間に袋がいっぱいになってしまって、2袋目に突入した。


「梨華、後で掃除機かけていいかな?」


髪の毛とホコリが、ベッドの下やソファーの下に結構溜まっているから。


「ごめんね。最近、掃除に手が回らなくて……」


「うん、わかってる。つわりでしんどいからだろう?

大丈夫だよ。これからは俺が手伝うし」


「……ありがとう」


とりあえず床と机の上にあるゴミは全部拾ったし、次はこの汚れたテーブルを拭こう。


でも、このままじゃ拭けないから整頓しないとな。


「あれ? 梨華、これってもしかして母子手帳?」


机の上を片付けていたら、書類の下から母子手帳が出て来た。


「うん、そう」


「見ていい?」


「いいよ」


へぇ……。


これが母子手帳か。


自分のは母親が保管しているから、見たことがないけど。


こんなふうになってるんだ。


そんなことを思いながら、パラパラとページをめくっていたその時。


俺は、あるページで手が止まってしまった。
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