私たちの六年目
Kiss…



「皆さん、お疲れ様でしたー!」


「3日間、ありがとうございましたー!」


花のフェスタも無事に終わり、私はホッと胸を撫で下ろしていた。


久しぶりの大きなイベントだったな。


一週間、本当によく働いた。


明日は休みだし、ゆっくりしようっと。


「菜穂ー、私もう撤収していいかな?

これから彼とデートなのよ」


既に自分の荷物を手にしているアキ。


随分早いな。


まぁ、その気持ちはわかる。


この仕事をしていると、恋人にめったに会えないもんね。


「いいよー」


ステージ撤去は、業者さんが明日するし。


各ブースの片付けは、それぞれのお店のスタッフさん達がするから。


私達がすることは、もう特にないしね。


「ありがと、菜穂。じゃあね。お疲れー」


「はーい。お疲れ様ー」


さて、私も帰ろうかな?


スタッフ控え室のテントに入って、自分の荷物を手にすると。


私はトボトボと広い敷地内を歩き始めた。


歩きながら思い出すのは、秀哉のこと。


先週の月曜日。


この場所で秀哉に会った。


近くに秀哉の職場があるのは知っていたけど。


まさか偶然会ってしまうなんて、全く思っていなかった。
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