それが答え〜やっぱり一緒に・・・〜
そして、前日の約束通り、私達は久しぶりに身体を重ねた。


寝室で見つめ合った時、正直少し照れ臭かったけど、夫の唇が、すっと近づいてくると、そんな気持ちは一瞬で吹き飛んだ。瞳を閉じて、柔らかい感触を待ち受ける私の胸は、まるで新婚の時のように、ときめいていた。


やがて夫が私の中で果てた時、私は涙が溢れて来て、自分の上にいる夫の背中に手を回して、強く抱きしめた。


思えば、私はこの行為だけは、内藤さんに許さなかった。内藤さんは、何度も求めて来たけど、その度に私は拒んだ。今にして思えば、私に残された最後のけじめだったんだろう。


だけど今、夫は私の意思を確認することなく、その愛を私の中に放った。そして私も、それを当たり前のように受け入れた。


これが長年築き上げて来た、夫婦の信頼と安心なんだ。これはもう、この人としか、夫としか、私は絶対に共有出来ないに違いない。


愛は錯覚でも勘違いでもなく、確かに存在する。それは甘美で、人を酔わせ、人に幸せをもたらす。だけど、その永続は、不断の努力と相手を思う心を持ち続けない限り、決して約束されはしない。


なんてね・・・。


全てが終わった後、服を着ることを許されなかった私は、そのまま、夫の腕の中で、朝を迎えた。


そして、その寝顔を見つめていた私に気付いた夫は


「おはよう。」


の一言と共に、その唇を私に重ねて来た。今日も1日が始まる・・・。
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