それが答え〜やっぱり一緒に・・・〜
その日、私は久しぶりに連絡をもらった高校時代の友人と会った。報告したいことがあるとのことで、何事かと思ってると


「実は離婚したのよ。」


「えっ?」


私は仲睦まじい頃の友人夫婦しか、知らなかったので、驚いた。


「なんか疲れちゃってね、というかバカバカしくなって。」


「・・・。」


「つくづく思ったわ。愛なんて、所詮は壮大な勘違いに過ぎないって。」


「勘違い?」


「そう。勘違いじゃなきゃ、思い込み。いつかは醒めるのよ。まして、結婚なんて、その勘違いの上に成り立ってる砂上の楼閣。脆いものよ。」


「・・・。」


「勘違いから目覚めて、関心も持てなくなった相手と結婚してるって言う理由だけで、一緒にいる必要なんて、どこにもないでしょ。人生は1度きりなんだから、後悔しないようにしなくっちゃ。」


どうやら彼女の溜まっていた鬱憤の、発散相手に選ばれて、私は呼ばれたらしい。


でも、彼女の発言の全てを肯定する気もないけど、否定する気もなかった。むしろ、今の自分の本当の気持ちを、彼女の言葉から、確認しているような思いだった。


長年連れ添って来た、夫に対する思いは、無くなった訳じゃない。でも、それにこだわり、それを優先させる人生が本当に幸せなんだろうか?


意を決した私は、次の逢瀬の時に、店長に聞いた。


「もし、私が離婚したら、店長はどう思います?」


「それは、もちろん嬉しいよ。朱美が独身になれば、晴れて正々堂々と付き合えるんだから。」


そう言ってくれて、その逞しい胸に抱かれた時、私の心は完全に決まった。
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