Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
「うん、信じてるよ。

フォルティスと一緒にこの領地を守っていくんだって。

好きよ、フォルティス。

この気持ちは一生変わらないわ。」

精一杯の気持ちを込めて伝える。

すると、目を細めて久しぶりの口付けをくれた。

離れていくフォルティスにぎゅっと抱きつくと、数倍の力で抱き締められた。

「愛してるよ、リリ。

2人でリリのお父さんを助けて、早く元通りの生活を送れるといいな。

明日は頑張って来るよ。

信じて、待ってて。

無事に2人で帰ってくることを。」

フォルティスの自信に満ちた声に安心して、うなずくと、すくうように唇を捕らえられた。

音をたてながら、次第に口付けが深くなった。

私は初めて大人なキスをして、力が入らなくなってしまった。

それでも、何度も何度も繰り返されて気が遠くなり、自分の部屋までフォルティスに運んでもらうしかなかった。

その日、私はマリンの全てを察したようなにやにやした笑顔と、フォルティスの唇の感覚が交互に訪れたせいで、なかなか眠りにつけなかった。

眠ってしまえば、久しぶりな幸せの時間のおかげで、ぐっすりと深い眠りにつけたのだけど。





入城すると、少し不安に感じるような視線ばかり浴びるので、緊張する。

議会の場に向かって歩いていると、正面からシェヴァ王子の一行が歩いてきた。

不敵に笑う産業大臣と目があった。

怪しい微笑みを浮かべてするりと通り抜けていった。

不思議に思って振り替えるけれど、4、5人の従者で姿は見えなくなっていた。

何か大切なことを見逃しているような気になったが、証拠は見つけたんだと安心する。

ざわざわした心を落ち着かせながら、扉を開けて入るとそこには少しやつれた様子の当主がいた。

俺が少し頷くと安心したように、ふっと目が和らいだ。

「これより、スタゴナ公爵家の評議を行う。

正しき目で、判断するように。

ではまず、そちらの意見を教えてもらおうか。」

「はい、私の調査によりますと、使用人に扮した男が怪しい行動を繰り返していて、捕縛し証言を取りました。

連行してきているので、後に直接お聞きください。

この男と当主の関係はありません。

それに、当主様の王家への忠誠心は国1番だと思っています。

数年前の伝染病のときも医療体制をいち早く整えて、他領地の患者も受け入れていました。

新任の補佐官たちを育てているのも、デガン様です。

人柄、今までの功績を持ってデガン様は無実だと言えます。

以上です。」

気づかないうちに力が入っていたようだ。

とりあえず、前向きに捉えてくれたり、頷いていた代表もいたから大丈夫だろう。

王の表情は変わらないので、どう考えているのか分からない。

「私はデガンが犯人だとは思っていない。

国民に毒を盛るなど、なんの利益にもならないだろう。

私へのクーデターだなどと馬鹿げた噂が横行しているが、もしデガンが本気で私を追いやろうと思ったのなら、私は一瞬で王座から落とされているだろう。

デガンは人一倍頭の切れるやつだ。

こんなふうにちまちまとせずに、何か気に入らないことがあったら真っ先に訴えて来るだろう。

王としての私の意見は、以上だ。

即刻解放するように。」

重々しい話し方に対して、捕まえられている当主を見て面白がっているような雰囲気に驚かされる。

だが、ふと思い返すと、公爵家は王家との血の繋がりも強い。

昔から仲が良かったのかもしれない。

王の後ろ楯を得て、自信がついた。

聞いているものの中にも、信じてくれるものもいる。

育ててもらったことに恩義を感じている彼らは、信じてくれるだろう。

デガン様は皆に慕われているから、ここまで騒ぎが大きくなったんだ。

皆が噂を信じずに、言い分を聞こうとしてくれたから。

おかげで、きっちりと彼を守ることができるだろう。

泣いて喜ぶリリの顔が目に浮かぶ、、、

「それでは、判決にしましょう。、、、、、、」
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