かわいい戦争

きらめく偽者






あぁ、なんて醜い顔なの。





翌朝。

鏡を見てみれば、睡眠不足とストレスのせいで顔がむくんでいた。


洗顔してさっぱりしても、現実を目の当たりにしたらショックでテンションが下がる。



鏡の向こう側のわたしは、ひどくブサイクだ。



首を飾るチョーカーが戒める。

このままのお前ではいけない、と。



「よし!今日もやるぞ!」



毎日のルーティーン。


わたしの魔法。

化けの皮――メイクで、“かわいい”を作る。



そばかすだらけの乾燥肌に、下地とファンデを均一に乗せ、うるツヤで白い肌に変身。


ニキビとクマ、くすみをコンシーラーで、できうる限り隠す。隠し切れない部分を残さない。隠して隠して、隠す!


重要かつ大切なベースがよれて、ボロボロに崩れてしまわないように、お粉で優しく抑えていく。



「やっぱりいつもより肌の調子悪いなぁ……」



こればっかりはいくら嘆いても仕方ないか。

今夜はいつも以上にケアしよっと。


“かわいい”は一日にして成らず!



一重の瞼を、二重に作り替えて。


お手入れした元々の眉に軽く色を加えていき、ナチュラルに馴染ませていく。



学校なので、アイシャドウは派手にならないよう一色だけ。

アイシャドウパレットのブラウン系から気分で選んで、瞼の上を彩る。


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