W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~

運命の急展開

水曜日、似たような服を選ぶ二人を説得して、梗月はスーツがネイビーでネクタイは赤、涼月はスーツがグレーでネクタイがスカイブルーにしてもらった。
これでみんなも迷うことなく見分けられるだろう。

「ちぇ、つまんない。梗、途中でネクタイだけでも交換しようよ」

「だめです!梗月さん、絶対交換なんてしたらダメですよ!」

今日は二人がスーツとネクタイの色が違うのをメールで全社員に通知したから、みんな混乱なく見分けることができてる。もっと早くやってもらえばよかった。
おかげで何処に行っても涼月は専務と呼ばれつまんなくなって今は社長室に入り浸ってる。

「いい加減僕を巻き込むのはよしてくれ。仕事の邪魔だよ」

呆れ顔の梗月が涼月と静香の顔を交互に見る…

…静香も見てる!?

「梗月さん!わ、私も入ってるんですか!?」

「周りを巻き込む涼月に乗っかって騒がしくしてるのは静香くんだよ。僕は忙しいんだ。二人とも出てってくれ」

いつにもまして機嫌が悪く辛辣で、こんな梗月を見たごとが無くて愕然とする。

「ま、しょうがない。静香ちゃん行くよ」

私の肩をたたき、さっさと出て行く涼月さん。

「社長、申し訳ありませんでした…」

頭を下げ、無視してパソコンを見てる梗月に後ろ髪引かれながら社長室を出た。
秘書室で待ってた涼月に食って掛かった。

「涼月さんのせいで梗月さん怒ってるじゃないですか!どうしてくれるんです…」

最後はしょぼんと力なく椅子に座った。

「今はちょっと機嫌が悪いだけだよ。じゃ、後でまた来るから~」

何事もなかったように後ろ手を振り出ていく涼月を大きなため息をついて見送った。

その日の夜に事件は起こった。

社内会議が長引いて社長室へ戻る間も無言の梗月。
今日はほんとに機嫌が悪くて一日仕事で必要な言葉しか会話してない。
どうしたものかと梗月の背中を追いながら考えてたけど、機嫌が悪い理由がわからない。
もちろん騒がしくしてしまったことも原因だろうけど、それだけでこんなに機嫌が悪いんだろうか?
目も合わせてくれなくて、自分は何かやらかして嫌われてしまったのかと朝からの行動を思い返してみる。

強引に起こすのはいつもの事で今日は梗月は自分の部屋で、涼月もゲストルームで寝ていた。
起こした後、スーツを変えてくれと勝手にクローゼットを物色して、まだ着替えてない涼月に渡したのがいけなかったのか…。それとも朝ごはんが美味しくなかったとか?やっぱり社長室で涼月と言い争いをしてるのにウンザリしたのか…。
思い浮かぶ事は色々ある…。

ダメだ…わからないけど後でもう一度梗月さんに謝ろう。

ぶつぶつと一人事をいいながら社長室へ戻ったとき、奥から声が聞こえた。

「なんでこんなところまで押しかけてくるんだ!帰ってくれ!」

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