可愛い上司
「コーヒーどうぞ、先生」

「ありがとう」

ソーサーとカップを手に、コーヒーを飲みながら先生は部屋の中をうろうろする。
飼っている金魚の様子を見たり、カレンダーを確認したり。
けど、手元を気にしないもんだから。

「先生。
ネクタイ、コーヒーに浸かってます」

「うわっ」

「先生、コーヒー、跳ねてます」

慌てる先生に、コーヒーがそこらじゅうに跳ねてこぼれる。

ぼーっとネクタイをコーヒーに浸しているのも、慌てすぎて大惨事になっているのも微笑ま……しくない。
しくないとも。
後片付けは私がするんだから。
だから、朝は特に、重要書類はきっちりと片づけておく。

「ご、ごめんねー」

「あやまるのはいいですから、さっさと服、脱いでください」
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