幼馴染は恋をする
女子にだ。しかも、二年の女子にだ。
俺は気づかれないように聞いていた。

「その、年上っていう、澄ました?余裕って顔も嫌なんです。……目立って可愛いからって。私達みんな……好きだから、だから、誰かとつき合ったりしたら嫌だから、誰もつき合って欲しいとか言わなかったんです」

は……要は誰だろうと、みんなのモノが一人に独占される事が堪らないんだろ?許せないんだろ?
しかも朝が好きだって言った訳じゃない。あのイケメン野郎の方が朝を好きっていうのが面白くないんだろ。

「黙ってないで何とか言ってください」

何を言えって言うんだ。そんな投げかけに答える言葉はないだろう。つき合ってる事を責めるように言って、じゃあ、別れますって言うのを期待してるんだろ?こんな風に言われるのが嫌ならって…追い込んで。こっちから言わせようとしてるんだ。…嫌がらせだ。朝……。
朝は黙っていた。

「馬鹿にしてるんですか?私達が年下だから。こんなことに、相手にする必要はないって思ってるんで…」

「ないな」

大きなお世話だと思った。だけど、現れるべきイケメン野郎はここぞとばかりに現れない。だったら、俺が行くしかないだろう。偶々とはいえ、知ってそのままになんて出来るかってんだ。

「…貴浩君」

「あ、やだ。三年の…やだ」

何かゴニョゴニョ言ってるようだったが、知るか。

「文句があるなら……、言いたい事があるんだったら、朝にじゃなく、一人一人、自分の気持ちをアイツにぶつけたらいいだろ。好きなら好きって言えばいいだろ。あいつだって朝に告って来たんだ、勇気を出してな。誰かのモノになったんだ。どうにもならないだろ。考え方は改めた方がいい。だいたい…ぁ」

朝が腕を掴んだ。あ、言い過ぎるなって?
……解ったよ。

「……上手く言えなくて悪いけど、こういうのは一番駄目だと思う。大人数で一人にっていうの。それだけで不公平だろ。されたこと、自分に置き換えて考えてみろよ…」
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