幼馴染は恋をする
「男親っていうのはね、知らないことばっかりなんだよ。居ない間に成長してる、気がついたらいつもそんな感じでね…」

…寂しいんだな、成長が見れないこと。小さい頃から、初めて出来たことはお母さんからされる報告ばかりだったのかも知れない。

「貴浩君が今日は居るから、君を通してそれを訴えてるようなものだ。ハハハ。何でも話して欲しいとは思ってるけど、母親とは違うし…どうも…女の子は秘密が多くて困る」

…秘密ね。

「それに、親より友達同士の方が何でも話せるだろ?特に今くらいの年齢は内緒が多いからね」

…何一つ、まともな返事ができない。そうですね、なんてうっかり言ってしまったら、隠し事があるのかって、なるだろ?それを俺が知ってるとか……思われる。そしたら、朝に話がとんでしまうかも知れない。
現に、朝は、あの男の人の事、親に明確にしていないんだし。

「好きな子とかいるの?」

「え?僕ですか?」

どういう質問だよ…えー……。それに、なんだ…さっきから誰も反応してくれやしない。男同士の話ってことで放ったらかしにされてるのか?

「…特には」

「…うん。今の質問、あまり詮索しないで欲しい。ただ聞いてみただけだから」

「あ、はい」

……どういうつもりなんだ?

「朝もいないのかな」

あっ。そういう事か。先に俺に振って、その流れで朝に聞く…。聞きたい意図があるんだな…。親は怖いな。

「私?私は……一応居る、かも」

お。朝、言った……言ったけどどうするつもりなんだ。

「だけど、勝手に好きなだけだから」

あー、まあ、な。今のところはな、向こうは全くって感じだったな。…当たり前だよ、歳が離れすぎてんだから。

「えー、相手も実は好きなんじゃないの?」

あ゙?出た、余計な一言、里英のやつ…。なに考えてるんだ…。事を荒立てたいのか?

「なんで里英が知ってるんだ?」

「それは…」

里英が俺を見た。…はあ?なんだよ、俺は関係ないんだって。ん゙。力を込めて見返してやった。

「知らない」

……なんだよ…。

「た、貴浩君だから」

は?

「私、貴浩君の事、好きだから」

はぁあ?……朝?
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