『……宮坂、こんなところにいたのか』



かけられた声に振り返れば、さわやかなブルーの半袖リネンシャツとチノパンといった出で立ちの越智くんが、青々と生い茂る草を踏みしめながらこちらに近づいてくるところだった。

私は触れていた木の幹から手を離し、身体ごとそちらを向いて彼を迎える。



『あれ、越智くん』

『「手洗い行く」って行ったっきりなかなか戻ってこないから、様子見に来た。まさか迷子になってた?』

『ちっ違うよ! あ、でも、心配かけてごめんね』



からかうような越智くんのセリフに答えてから、私は再び傍らの木を見上げた。



『なんか、久々にこんな自然に囲まれてたら地元が懐かしくなっちゃって。いいところだよねー、ここ』



今日は休日を利用して、会社の同期たちとバーベキューを楽しんでいる。

郊外にあるこのグランピング施設は、なんと機材や食材の準備をすることなく、手ぶらでバーベキューができるのだ。

今回は日帰りだけれど、施設内にはゴージャスな内装のテントやコテージもある。

いつか泊まりに来たいねと、さっきもみんなで話していたところだ。

新鮮な空気を満喫しつつしみじみとつぶやいた私に、越智くんがメガネ越しの目をまたたかせる。