可愛がりたい、溺愛したい。
葉月くんの危険な罠。



「……は?
何バイトって。僕聞いてないんだけど」


不満そうに眉をひそめて、疑いの目を思いっきり向けてくる依生くん。



今日の放課後から葉月くんに勉強を教える……というか、やる気を取り戻させなくてはいけないため、バイトを始めると嘘をついた。



「きゅ、急に決まったの。人手不足みたいで…」


「どこでなんのバイトすんの?」


「えっと、駅前のカフェで…」


「それって接客?」


「う、ううん。接客じゃなくて裏でのお手伝い…的な」


カフェでバイトなんてしたことないから、どんな仕事かわからなさすぎてごまかすので精いっぱい。



「ふーん、お手伝いね」


かなり怪しんでいるので、嘘だとバレないよう必死に表情を作る。



「それって何時に終わるの?毎日シフト入ってんの?期間いつまで?」


怒涛の質問攻めにもひるまずに答えなくては…。

< 156 / 360 >

この作品をシェア

pagetop