大嫌い、だから恋人になる
出逢い
「ちーちゃん、秋山君のこと嫌いなの?」

なっちゃんがびっくりした様子で聞いた。

「声、大きいよ。なっちゃん」

「まあ、ちひろは昔から変わってるから」

そう言ったのは池谷凜ちゃん。

ちなみになっちゃんの本名は安部菜津。

私たちは高校一年生。

中学生の時から三人一緒で友達だ。

私たちは今、高校の中庭でお弁当を食べてる。

五月の風が気持ちいい。

長かった受験もやっと終わって、高校生活はとっても楽しい。

私たち三人の目標は高校で彼氏を作ること。

中学生の時のリベンジ。

で今お弁当を食べながら、この高校で誰がかっこいいか話してた所。

「まあ、ブサメンが好きって人もいるから」

凜ちゃんがサンドイッチをモグモグしながら言う。

「えー、そうなの、ちーちゃん。ブサメンでオタクで気持ち悪い系の男子が良いの。でも安心して。私、ちーちゃんがゴリラみたいな男子と付き合っても応援する」

なっちゃんはお弁当をもう食べ終えて、菓子パンを食べてる。

「友達の恋人が気持ち悪いゴリラか」

と凜ちゃん。

「でもゴリラもよく見たら可愛いかも」

「そうかなあ。私は嫌だけど、ちーちゃんの恋は応援する。みんながちーちゃんの彼氏不細工だと思っても私は応援する」

「待って、待ってよ、二人とも。なんで私の彼氏がゴリラのオタクなの?ただ秋山君が苦手って言っただけなのに」

「だって秋山君がカッコ悪いなんて普通じゃないよ。なっちゃんもそう思うでしょ」

「うん。秋山君初めて見た時、芸能人がうちの学校通ってるのかと思ったもん」

「別にカッコ悪いなんて言って無いよ。ただ苦手なだけ。あっ、そろそろ時間だ」

私たちは慌てて教室に戻った。
< 1 / 319 >

この作品をシェア

pagetop