「え、……えぇ!? 私に!?」
驚く私にライゼちゃんはゆっくりと頷いた。
「わざわざフェルクレールトからか」
ラグが疑わしげに言う。
「フェルクレ……?」
「こいつらの国の名前だ」
「え? だって、ずっと南の国だって……。じゃあそこまで私のこと伝わっちゃってるってこと!?」
私のことを捜しているのは、てっきりこの国だけなのだと思っていたけれど。
すでに他の国にまで知れているということは、結局海を渡っても気は休まらないということになる。
(でも、いくらなんでも早すぎる気が……)
と、ライゼちゃんがその問いに対して首を横に振った。
「いいえ、銀のセイレーンが現れたというのはフェルクでもまだ、私たちしか知らないはずです」
言われて少しほっとする。
しかし逆に新たな疑問が湧く。
「じゃぁ、ライゼちゃんたちは何で知って……?」
「声が、聞こえたんです」
「声?」
私が訊き返すと同時。
「神導術士、か」
ラグのその低い声にライゼちゃんの肩がびくりと震えた。