My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1

「ガクフ?」

 皆怪訝そうな顔だ。
 歌は音楽の基本。その歌をこれまで歌ったことも、聴いたこともなかった皆が“楽譜”というモノを知らないのは当然のことかもしれない。
 でもエルネストさんは確かに「その楽譜は僕が持っている」――そう言っていた。
 一層、彼の謎が深まってしまった。

 ……今度はいつ現われてくれるのだろう。

 訊きたいことはたくさんあるのに、いざ彼を目の前にするといつもうまく話をすることが出来ない。
 むしろ謎が増えていくばかりだ。

 私は料理を口に頬張りながら彼の優しげな笑顔を思い浮べていた。

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