My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
私は言葉に詰まる。
なんと説明したらいいのだろうか。
下手なことを言えば私の事もバレてしまう。それはラグのことより更にマズい気がした。――と、
「おい! 傭兵に雇主を詮索するような権利は無いはずだぞ!!」
ラグが勢いよくこちらを振り向いて怒鳴った。
しかし残念ながらあの姿で怒鳴られても迫力はあまり無く、セリーンには全く効いていないようだった。
むしろ彼女はこちらを向いてくれたことが嬉しかったのか顔を輝かせ、更に興味津々といったふうに声を上ずらせた。
「なんだ? そんなに言いにくい関係なのか!? まさか、どちらかの片思いで無理やり……!?」
「利害が一致しているから一緒にいる! それだけだ!!」
怒りが頂点に達したのか真っ赤な顔で叫ぶラグ。
「利害?」
「オレは早くこのクソムカツク呪いを解きたいんでな! そのためにある奴を捜してる。そいつも……理由は違うが同じ奴を捜しているんだ!」
そこまで大声で言い切ると、ラグはまたぷいっと前を向いてズンズン歩き始めてしまった。