香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
1、私が公爵令嬢〜!?
ミャア〜、ミャア〜。
公園で遊んでいたら、頭上から猫の声がした。
上を見れば木の上に黒い毛並みの子猫がいて、誰かに助けを求めているように見える。
「お前、下りられなくなったの?」
周囲に大人の姿はないし、自分以外には誰もいない。
夕暮れ時で、さっきまでいた他の子供達も家に帰ってしまったようだ。
「待ってて、私が助けてあげる」
子猫にそう言って、木に登る。なんとか助けてあげたかった。
足場を見つけてゆっくりと上っていくと、ついに子猫のいる枝まで来た。
「おいで」
手を伸ばして助けようとするが、子猫は怖がって私の手に乗ってこない。
もう少し身を乗り出して枝に体重をかける。
「ほら、こっちだよ」
ニコッと微笑めば、猫はじっと私の目を見ながらゆっくりと近づき、私の手の上に乗った。
「いい子ね」
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